虚ろな十字架「東野圭吾」

死刑制度に関するお話だとは知らずに読みました。ニュースで死刑執行の報がある度に考え込んでみるものの、どうしても賛成できず、反対できずになってしまいます。難しいです。この本を読み終わっても尚、態度を決めることができません。
もっとも、この本では死刑制度を十分に知るには情報が足りませんし、それだけでなく謎を追うエンターテイメントも含まれています。

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東野圭吾さんの本は、読みやすさ抜群ですから、いつもどんどん読み進むことができますが、今回は気になる箇所がいくつかありました。
ちょっと偶然すぎるのではないかと思われるところがあったり、説明が過ぎたりといった感じですね。きっとそこは目をつぶって強引に話を続けてでも、一度考えて欲しいと思ったのかもしれません。

と、話の流れに不満が少しありましても、死刑について考え込むのに十分、死刑制度について家族に議論をふっかけるのに十分で、捜査段階での警察の態度やそれによるさらなる被害、その命とこの命の大切さに違いは、なんて、もりだくさんです。
それと、捜査中って、被害者の関係者も調べ上げられてしまうのはわかっていた気がしますが、つらいですよね。そうですよね。と再認識。

死刑制度というのは本当に(うまく表現できないですが)人間の不思議というか、業のようなもの、精神性みたいな事なんかも考えてしまい、収拾つかず考えがまとまりません。これについて論じるには、まだ知らなければいけない事が私にはいっぱいあるのだと思います。

それにしても、子供が殺されるシーンというのは、「これ小説。これ小説。」と自分に言い聞かせながら読まないと、いや、そうしても、気分が悪いですね。

おまけに表紙が樹海です。読み終わってすっきり楽しくなる本ではないです。どんどんと読んで、しっかり考えて、次の本……なんだか笑える感じの本が欲しくなりまーす。

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