パラドックス13「東野圭吾」

これは?!東日本大震災を経験した後に読むのと、前に読むのとでは感じ方もずいぶん違うのではないかと思います。ましてや、東京でも大きな地震があるかもしれない等と聞かされると、読みながらいろんな事を考えてしまいます。

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設定は、世界がふたつある、今と同じあるいはほぼ同じ世界が別にあるという仮定で話がすすむみます。その設定自体は新しいものではないでしょうし、強いポイントはそこではなかった気がします。どうなっているの?といった部分も描かれていて、興味深いのではありますが…

13人の人間が違う世界に飛ばされて、そこで大災害にあう。善も悪もわからなくなる。生きて行くってなんだろうと考えさせられる。
しかしながら、震災の映像を見た後の2014年の私は、登場人物達の困難がかなりリアルに迫ってきて、何度か出版年を確認してしまいました。
描かれているサバイバルな状況は、震災を生き残った方が語った言葉と重なります。災害で何が起こり得るのかが東野さんの想像だけでなく、かなり調査されたのかもしれません。
生き残る為に何をするのか、いやいや生き残るべきなのか。

人間も描かれています。登場人物が多いので、東野圭吾さんももっと深く書きたかったのではないでしょうか。
過酷な状況で人間性がどうでるかいろんなパターンが書かれていますが、今の平和からみれば、ちょっと受け入れられない事も、環境次第では正しい事になるのかもしれません。

話の展開は早く、飽きる事なくどんどん読めますが、真剣に哲学的な事を考えながら読むとうっすらと怖くなるお話です。

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