ガール 「奥田英朗」

2006年出版ですね。
ライブドア事件で堀江さん等が逮捕されて大騒ぎしていた年です。
ガールと呼ぶには微妙な30代女性が主人公として描かれています。
短編が5つ入っていて、そのどれもが30代女性。ガールと呼ばれなくなったんじゃないのぉ?という女性が主人公ってわけです。

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結婚していない働く30代女性の言い分。だんなと二人で生活しているけれど仕事バリバリやってる30代女性の言い分。だんなと別れてひとりで子育てをする30代女性の考えている事。奥田さんは女なのかと疑ってしまうほど、心の中をどろどろ~っと書きだしてくれます。

でもこの本には、救いがあります。ちゃんとスッキリさせてくれます。途中は{あ~、もうっ。そうなのよ。あったまくるよねっ!}と思い、読むのがいやになっちゃうのですが、最後に{うん。そうですよね。}って溜息つきながら同意したくなる感じ。ん?スッキリでもないか。

でも、奥田さんならではの言葉で–その女性達の言葉と想いで、「間違ってないよね私達。がんばろう」って思えるかな。少しね。大げさに感動ではなく、少しなところが良いです。

途中読むのがいやになっちゃうのは、奥田さんがしっかりと書き出してくれちゃってるから。女性の心の中を。ほんとに、男ですかね。書いたのが林真理子さんですっていうなら、ここまで驚かずに読めるんだけどな。作家さんって不思議だなぁ。人の心の中覗くのがうまいですよね。近くにはいて欲しくない。

そういえば、奥田さんの「邪魔」もすごかったですよ。こっちは怖かったですよ。主人公の心の中が書かれていてその壊れっぷりがすごくて、こっちまで壊れそうになって、急いで読んだんですよ。急いでも意味ないのはわかってますよ。ええ。でも、それ位{もうやめてあげて~}って位怖かった。

そちらもおすすめですが、20代女性には、この「ガール」がおすすめ。もうすぐ来る「若いね~」と「おばちゃん入ってきたね」の中間を、お先に体験してください。こんな女性にはなりたくないという反感も感じちゃうかもしれないけど、小さなやりきれない感を感じる時ははきっとやってくるかもです。その時のためにね。

女性の部下を持つ男性にもおすすめできます。

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