「仏果を得ず」三浦しをん

文楽と言われても何のことやら、人形浄瑠璃と言われても何のことやら、仏果とはなんだろう、三浦しをんさんなら読みやすかろうと、読んでみることにしました。私がこのまま、浄瑠璃にのめりこむ事はないだろうと思いますが、今まで全く知らなかった事を知るという事は楽しいことなのだと確認できました。

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三浦さんらしい軽い部分としっかりと練り込まれた部分とが混ざりあって、読み終わる頃には、人形浄瑠璃って面白い!と思わせてくれます。浄瑠璃の解説本ではないので、主人公には恋が訪れたり、芸を磨く苦労があったりと話は進んでいきます。

この本を中学生、高校生の段階で読んでいたなら、「近松門左衛門・人形浄瑠璃」なんて丸覚えをするのではなく、すんなりと頭に入ってきただろうなと思います。日本の伝統芸能であるにもかかわらず、浄瑠璃とはどういうものなのか、歌舞伎とはどういうものなのか、知らずに育ってきた事をもったいなく思います。浄瑠璃(あるいは歌舞伎)の演目は決して現代の私達の心情からかけ離れたものではないこと、芸を磨く方々が日々をどう過ごしているのかを垣間見ることができます。

中学、高校の国語や歴史の先生が、この本を生徒さんにおすすめしてくれたら、素敵だなと思います。道徳の時間が復活するニュースを見た気がしますが、伝統芸能を知る機会もあるといいですね。日本を世界に説明できる子になりますよね。
もちろん、この一冊で知り尽くせるような芸能ではなく、とっかかりでしかないかもしれないけれど、確実に、知識ゼロから一歩前進できる本です。YouTubeで私が浄瑠璃を検索して見てみるなんて、信じられない変化です。

日本の伝統芸能は、ここでたっぷり学べるようです。奥が深そうです。

文化デジタルライブラリー

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